オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「おっ、おはようございます。お早いのですね……」
「ん?………あぁ。…………おはよ」
京夜様はリビングのソファに腰掛け、新聞を読んでいた。
今の時刻、6時15分。
朝が苦手の筈の京夜様がこの時間からリビングにいるなんて。
もしかして、寝てないのかしら?
私は1番に珈琲を淹れ、彼のもとへそれを運ぶ。
彼の邪魔をしないように、静かにテーブルに珈琲を置くと。
「サンキュ」
「ッ?!…………いえ」
びっくりした。
いつもなら『珈琲をお持ちしました』と声を掛けても
『ん』の一言しか言わない人が、
私が声を掛けるより先に『サンキュ』ですって?!
今日は槍が降って来るんじゃないかしら?
ちょっと意外な展開に唖然としていると、
「ん?どうした?……何か用か?」
「え?あっ、いえ、何でもありません」
彼はしれっとした顔で珈琲を口にする。
しかも……。
「ん、旨いな」
「!?」
やっぱり、変だ!
京夜様がおかしくなってる!!
私は動揺を隠すようにキッチンへと逃げ込んだ。