オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
膝から崩れるようにその場に座り込んだ。
――――彼の居場所が分からない。
鞄から携帯を取り出し、掛けてみるものの繋がらない。
彼が言った言葉が脳裏を過る。
『携帯の電源は暫く切っておくが、心配は要らないから』
私が彼のもとに現れるかもしれないと、
彼は予測してたんだ、……私の行動を。
じゃあ、私はどうしたらいいの?
彼に伝えたように、のんびりと掃除でもする?
……とてもそんな気分じゃない。
さっきより胸の奥がざわついてる。
何だろう?
物凄く嫌な予感がするんだけど?
事故にでも遭ったりしないよね?
メディアに取り囲まれて、嫌な想いをしてないかしら?
逸る気持ちばかりが膨らんで……。
自然と流れ落ちる生温かい雫。
鍵をギュッと握りしめる手の甲にポタリと落ちた。
どれ程の時間をそうしていたのか、
視界が少しずつハッキリして来て、私はゆっくりと立ち上った。
京夜様が『男に二言は無い』と言った言葉を信じよう。
きっと、今私に出来る事は『彼を信じる』事だけだ。
疲れて帰って来た彼を笑顔で迎えないと。
そうと分かれば、美味しい食事を作らなくちゃ!!
私は必死に気力を奮い立たせていた。