オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「失礼します。専務、お呼びでしょうか?」

「ん、忙しいのに悪いな」

「いえ、大丈夫です」

「これから出発するから、後の事は頼むな」

「はい、承知しました」


常務に仕事の引継ぎを済ませた俺は一旦自宅へと戻り、

軽くシャワーを済ませてから、とある場所へと向かった。


********


「うううっ………、あぁぁぁ……」


凝り固まった背中や肩を解すように背筋を伸ばし、体中に新鮮な空気を吸い込んだ。


日本を離れて15時間。

日本ならすっかり日が暮れている時間だが、ここはちょうど日没の時間らしい。

地平線に少しずつのまれていく夕陽を眺め、深呼吸した。


空港から手配しておいた車で、一先ずホテルへと向かう。

海外生活の経験もあるし、海外渡航の経験も数えきれないほどあるが、

こんなにも緊張したことは未だかつてない。



母親に釘を刺され、彼女の行方を捜索することを一度は諦めた。

けれど、どうにもこうにも腑に落ちなくて。

何が原因なのか。

一体、何があったのか。

俺自身が納得できる何かを掴むまで、慎重に行動しようと心掛けた。


母親の監視もあるだろうから、

親のコネやつては一切使わず、御影というカードも使わずして独自の方法で調べ上げた。

すると、衝撃的な事実に辿り着いた。


一時は昏睡状態だった彼女だが、

無事に退院出来たこともあり、俺はすっかり安心していたのもつかの間。

彼女が忽然と姿を消した理由は、やはりあの時の傷が関係していた。

担当医が命に別状はないと診断したのは確かだが、

その後に別の症状が出ていたことに気付きもしなかった。

彼女が俺に心配かけまいと平然を装ったのだろうが、

何故、気づいてやれなかったのか。

悔やんでも悔やみきれない。

やはり、毎日一緒のベッドで寝るべきだったんだ。

そうすれば、彼女の少しの変化にも気づけたのかもしれない。



今更ながらに自分が情けなくて、ぶん殴ってやりたい衝動に駆られる。

彼女は今、どんな気持ちでいるのだろうか?


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