オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
ゆっくりと顔を上げながら、彼女に視線を向けると
彼女は困惑の表情を浮かべていた。
「あの………理由をお尋ねしても宜しいでしょうか?」
「はい」
俺は正座した状態で彼女の質問に答え始めた。
「先日お話したと思いますが、私には想いを寄せている人がいます」
「……はい」
「その人の事を想い、離れる事を選んだのですが、相手も自分も……どうしても離れる事が出来ませんでした」
「………そうですか」
「その人と………これからの人生を共にしたいと思っています。なので……」
「………言いたい事は分かりました。ですが……」
俺の言葉に取り乱す事無く聞いていた彼女は、
眉根を寄せ、視線を落としながら……。
「ですが、それでは私が困るんです」
「え?」
俯き加減の彼女がパッと顔を上げた。
その瞳は真っ直ぐと俺の瞳を見据えている。
それは至極真剣で、俺の今の心境とリンクしているように感じた。
すると――――。
「実は、私にも想いを寄せている人がいます」
「え?」
「家の事や両親の想いを考え、今回のお話をお受けしましたが、彼への想いは募るばかりです」
「………」
「御影さんのお話を聞いて、私も同じようにすべきなのかな?と思いましたが、それでも諦められなかった」
「………」
「だから、今日は………貴方にお願いがあって伺いました」
「お願い……ですか?」
「はい」