君の絵を描かせてくれ。
完成。










カタンッ




「……できた。」











いつものように今日あった事とか、あれが美味しかったとかそんな話をしていたら、真幸さんがそう言った。





『え!できたのー!?おめでとー!!
ねぇ、さすがにこれは見せてくれるでしょー??』





「あぁ。長い間付き合わせたからな。
おいで。」




真幸さんが手招きする。





私は初めて階段の上に上がった。










『うわぁーーーー!!』






その大きなキャンバスに描かれた女性は、
白いワンピースを着て、太陽みたいな笑顔でこちらを振り返る。












この言葉しか出てこない。


素敵。


この女性をこの人は私だと言うのか。


明らかに盛りすぎたよ。









『すごい!すごいよ、真幸さん!』







「……うん。良い出来だな。」






『うんうん!!正直、真幸さんのこと疑ってたけど、天才!!!』





「…ひと言余計だな。2ヶ月、ありがとな。」




『ううん!いろんな所連れてってもらったり、私は楽しかったよ!』





「それはよかった。」










でも、出来上がったってことはもう、私の役目は終わり。



すごく寂しい。



明日からは、ここへ来たってただの邪魔者だ。






『もう、私の役目は終わりだね!』



「感謝するよ。」


『いいの、いいの!私、誰よりもハイジ感には自信あったからね!役に立ててよかった!』


















『じゃあね、真幸さん!また!』






「あぁ。本当、サンキューな。」














泣きそうなのを堪える。


あれ?私、こんなにも…







私は絵を見ながら煙草を吸う真幸さんを


何度も振り返って見ていた。



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