業務報告はキスのあとで
「冗談じゃない」
あんな冗談話をした挙句、今日が初日の新入社員をこんな所に放置ですか。
私の教育担当だという自覚や責任感は無いのだろうか。
……あぁ、もう。信じられない。
段々と怒りが募ってきた私は「はあ」と大きく溜息をつく。
「なにが、俺と付き合ってみる?よ」
馬鹿馬鹿しい。
私はひとりブツブツと呟き、微量ではあるがストレスを発散。
2年も就職活動を続け、やっと勤めることが出来ると決まった会社。
ほんの数時間前までは、楽しみで、ワクワクして仕方なかったはずの〝今〟なのに。
「…最悪」
あの人のせいで、全部滅茶苦茶。
この先、どうなるのか。
ここで、上手くやっていけるだろうか。
そんな不安ばかりを感じながら私は溜息だけを残し、資料室を後にした───。