業務報告はキスのあとで

「冗談じゃない」


あんな冗談話をした挙句、今日が初日の新入社員をこんな所に放置ですか。

私の教育担当だという自覚や責任感は無いのだろうか。


……あぁ、もう。信じられない。


段々と怒りが募ってきた私は「はあ」と大きく溜息をつく。



「なにが、俺と付き合ってみる?よ」



馬鹿馬鹿しい。


私はひとりブツブツと呟き、微量ではあるがストレスを発散。


2年も就職活動を続け、やっと勤めることが出来ると決まった会社。

ほんの数時間前までは、楽しみで、ワクワクして仕方なかったはずの〝今〟なのに。



「…最悪」



あの人のせいで、全部滅茶苦茶。



この先、どうなるのか。

ここで、上手くやっていけるだろうか。



そんな不安ばかりを感じながら私は溜息だけを残し、資料室を後にした───。



< 17 / 350 >

この作品をシェア

pagetop