業務報告はキスのあとで





「ねえねえ、胡桃ちゃーん」

「はーい」

「まだー?」

「ちょっと待ってください」

「ええー、もう早く見たくて仕方ないんだけどどうしたらいい?」




梅雨真っ盛りとは思えない程、快晴な青空が広がっている6月。

私達は、永遠の愛を誓い合うための神聖な場所にいた。


今、私のいる化粧室のドアの向こう側からしつこい程に話しかけてくるのは私の大好きな人、平岡純平。

そんな平岡さんに、先程から私の隣に居た会社の同期西野麻奈実がキツイ言葉を投げ返した。



「平岡さんさっきから煩いです!黙って待っててください!」

「うっ、西野さんまでそんなこと言うなんてさぁ……もう、一体誰に似たんだか……」



ドアの向こう側からブツブツと聞こえてくる、つまらなそうな平岡さんの言葉たち。

返事はしないけれど、それを聞きながら幸せだなと実感している私を麻奈実が覗き込むようにして見てきた

私はそれに少し驚き、一瞬で無意識のうちに上がってしまっていた口角を下げたけれど時すでに遅し

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