業務報告はキスのあとで

………と、そんなこんなで結局、堂島さんや牧野さんからの質問攻めを受け続け、歓迎会という名の飲み会は終盤に差し掛かってきた


その時


「お、平岡今日1杯も飲んでないな。どうした?病気か?」


という手島さんの声が、ガヤガヤとした中から微かに聞こえてきた。


ああ、やはり平岡さんは普段よく飲むのか。そんな感じするなあ。

酔ってもいつもと変わらずヘラヘラ笑いながら話してそうだな、なんて酔った姿の平岡さんを想像してみる。

そして、そのまま私はその会話に耳を澄ましていた。



「あー……それが今日、車で来ちゃったんだよね」

「車? 何でだよ。お前はバカか」

「小松さん迎えに行ったし、これから送ってかないといけないから…かな?

1人でなんか帰せないでしょ。流石にこんな時間だしさ。俺も心配になるし、ね」


少し離れている席に、ガヤガヤとしている周り。

私の聞いた平岡さんの台詞は、聞き間違いか、それとも聞き間違いではないのか。


ドクン───


不覚にも大きく脈をうつ、私の心臓。



……いや、いやいや。絶対嘘だ。絶対、私の聞き間違い。

だって、あんなことを平岡さんが言うわけない。

< 45 / 350 >

この作品をシェア

pagetop