いいお嫁さん、やめてもいい?

「さっきから何してるんだ?」


今日は遠方に住んでいるお義父さんが、初めてわたしたち夫婦の新居に遊びに来る日。

デジカメで撮り溜めした写真の中からとっておきの我が子のショットを選んで印刷していると、ぐずっていた息子をあやしていたはずの夫の法資がわたしの手元を覗き込んできた。


「あれ、泰くんは?」
「寝たからあっちに置いてきた」


生まれて半年の我が子は、リビングに置いてあるベビーベッドの中でいつの間にすやすや心地良さそうな寝息を立てていた。深夜から明け方まで、火の付くような激しさで泣いていたとは思えない穏やかな寝顔だ。

毎晩必ず3度は起こされるこの子の夜泣きの所為で、寝不足続きな体はだいぶ参っているけれど。それでも我が子の寝顔は天使にしか見えない。遠目から眺めているだけでもつい顔が緩んでしまう。


「すごいね、法資。いつもベッドに下ろすとすぐ起きちゃうのに。泰海はよっぽどパパの抱っこが気持ちよかったみたいね」

賞賛を込めていうと、法資はすこしくすぐったそうな顔をして笑う。

ちいさな子供はあまり得意じゃないと言っていて、泰海が生まれたばかりの頃はおっかなびっくり抱っこしていた法資だけど、最近は寝かしつけや抱っこを任せられるくらい、だいぶパパが板についてきていた。


「ありがとう。助かった」
「ああ。……で、これなんだ?アルバム?」


法資がプリンターの周りに散らばった写真とまだ空っぽのままのアルバム帳を見比べて訊いてくる。

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