激愛
龍さんから香る煙草の匂いと香水の匂いがふわりと鼻を掠める



撫でられた頬が熱さを増して心臓がどきりと波打った



捕らわれてはいけない



魅入られてはいけない・・・・そんなことが頭の片隅をよぎってしまう



彼はたぶんあたしじゃなくても大勢の女の子にこんなことをしているんだろう



どきりとさせるそんな仕草にあたしの胸はちくりと痛みを伴った



すると思わず龍さんから目を逸らしてしまうと再び彼が口を開いた




「神龍初の姫になるってことは決していいことばっかりじゃねえ」



「え・・・・?」




「瞳ちゃん・・・世の女の子達は神龍の姫になることに憧れているようだけど実際はいいことよりも大変なことのほうが多いかもしれないんだ」




総長である矢島さんは姫になると送り迎えの護衛はもちろん学校内でも護衛が付くこと



一人での行動が制限されること何処へ行くにでも護衛付きで行動しなければならないことを力説した




ってことは・・・・自由に買い物も出来なくなるってこと?




それってまるで籠の鳥、自由という羽を取られた神龍の姫




その姫になれと言うふたりの男を交互に見つめた


< 130 / 538 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop