激愛
「やっと俺が誰だかわかったみたいだな?」



そう言って不敵な笑みを浮かべる総一郎さん



指を鳴らしながら首を左右に振ると男達を凍りつくような瞳で見据えた



でも男達は根っからの馬鹿なのか人数的に有利と感じたからなのかゆっくりと足を進めると総一郎さんをぐるりと取り囲んだ




「おい!お前ら、神龍の総長を俺たちが倒したとなりゃ箔がつく!そう思わねえか?」




「そう言われてみりゃそうだな?こっちは三人相手は女を守りながら一人で戦う・・・こんな機会滅多にねえな」




「そうだな・・・女を頂くのは後にして先に総長さんの方を片づけちまおうぜ」




最後の金髪の男の言葉が合図であるかのように乱闘は始まる



総一郎さんは男の繰り出したパンチを避けながらあたしのほうをちらりと見るとぽつりと囁くように言葉を放った



「瞳ちゃん、隙を見て逃げて!俺は大丈夫だから・・・・さ、早く!」



「で、でも・・・・そんな、総一郎さんを置いてだなんて」




あたしを庇いながら戦っている総一郎さん、見捨てるなんてあたしには出来ない



そんな、決して自分からは手出しをしないで避けるばかりの戦い方に相手は痺れを切らしたよう



でもこのままじゃ総一郎さんひとりでなんて体力的に無理!一体どうすれば?





そう思いながら後ずさりしたあたしは背後に回ってきた人の気配にぱっと振り返った













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