激愛
「妹の美由紀の態度が変わったのはその頃からだったわ、あたしが中三で美由紀が中一ちょうどあたしが受験生だったせいもあってそんなことがあったなんて全然気づかなかった」




目の前の俺の母親らしい女はそう呟くと伏し目がちに何処か遠くを見つめていた



まさかこの人の妹が瞳の義理の母親だったなんて・・・・



でも待て・・・確か母親はとうに離婚しているはず



行方が分からないって言ってたような・・・?



「今、その美由紀さんって人は・・・?」



「あたしが今、面倒みてるけど・・・もうわからないのよ」



「わからない・・・・?「若年性認知症・・・・美由紀さんの病名です彼女は一緒に育った美也子さんのこともわからないんです」



秘書の男の言葉に衝撃を受ける、彼女に何があったのか



瞳の親父さんと離婚後の彼女がどういう人生を歩んできたのかは俺にはわからない



この事実を瞳は知っているのか?そんな思いが頭を掠めていた




「彼女が変わったのはあたしのせいなの・・・・同じ人を愛してしまったから、その愛する人の手を離してしまったから」




そしてなによりも愛する息子を手離すことになったのもあたしのせい・・・・




そう言って涙する女を俺は複雑な思いで見つめるしかなかった
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