犯罪彼女
女子は女性を指差して爆笑している。
何をされたのかわかっていない女性はしばらく動かずに女子を見ていた。
『ドアが閉まります。ご注意下さい』
無情にも、二人を別つドアが閉じられた。
駅のホームに残された女性と電車に乗ったままの女子。
なんともし難い二人の壁。
「なんでわざわざ君みたいなのに付き合って電車降りなきゃならないのさ。馬鹿じゃない?」
小さく手を振る女子。
女性は顔を真っ赤にしながら何かを怒鳴っているけれど、車内には何も聞こえない。
電車が動き出し、女性は遠ざかっていく。
女子は女性を笑うのに飽きたのか、急に笑うのをやめて優先座席に戻ってきた。