【完】狼様の最愛。
でもダメだ。
今行かなければ、きっと後悔する。
俺はヒルナの言葉を遮り、一言だけ。
「……最愛が危ない。」
足を踏み出せば、二人はもう何も言わなかった。
何も言わず、止めようともせず。
「……念のため、山の皆に声をかけておきます。」
ヒルナが小さく零した。
「あぁ。」
ヒルナとマンタには、一応この前のことを話しておいた。
最愛にとって“父親”という存在が現れ、そいつは最愛を、赤坂村から離そうと考えている。
理由は分からない。
ただ、アイツの臭い……。
どこかで嗅いだことがある……。