桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。
「……ここか?」

朔夜はごく普通の家の前にバイクを停めた。

これが私の家。

「……あぁ、うん。」

降りようとすると、朔夜に抱き上げられた。

たまり場に連れて行かれた時と同じように、優しく私を下ろす。

彼の表情から気持ちを読み取ることは出来ないけど、なんとなく温かい気持ちになった。


「じゃあ……、」

ばいばい、と言いかけると

「またな。」

という朔夜の声に遮られた。


“またな”

私が求めていた言葉。

でも………

私が求めてはいけない言葉。



だから私は………

「……………ばいばい。」

朔夜の言葉には応えずに、逃げるように家に入った。
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