悪魔の誘惑【BL】
 
「慈人くん」


 静かに、優しく、声が響く。

 返事のない背中に手を添えて、坂下は声を掛ける。


「ねぇ。キス、しようよ」


 その一言に何か思う事があったのか、慈人はもぞもぞと動き出した。

「キスだけ、だからな」

「ん? うん」


 布団から出てきて乱れた慈人の髪を、坂下はそっと直してやる。

 茶色い猫っ毛は、指通りが良くてずっと触っていたいと思った。

 おずおずとこちらを向いた慈人の頤を掬って、坂下はそっと口付ける。

 キスだけ、と言われた通り触れるだけで離れて、どちらからともなく視線が絡み合った。

「慈人くん。怒られるの承知で言ってもいい?」

「……なんだよ」

「キスだけじゃ足りないなぁ……なんて」


 手と手が触れ合って、抱きしめて。

 少しでも触れてしまえば、もう戻れない。


fin

 

< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

エアラブLOG
和京/著

総文字数/4,431

恋愛(その他)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  野いちご学園 えあら部LOG + 文字数制限ボツ + ボツネタ 学園まとめ集   ※ファン様限定公開※  
戯言、譫言、絵空事
和京/著

総文字数/2,185

詩・短歌・俳句・川柳8ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  気紛れに綴る 言の葉 戯言で 譫言で 絵空事だけれど 想いは此処にある 150106→  
memoria/primo amore【BL】
和京/著

総文字数/9,248

恋愛(その他)22ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  memoria primo amore 思い出 と 初恋 記憶の中で輝く笑顔 思い出す程想いは募り 後付けだけど あれはきっと初恋だった 記憶の中で繋いだ手と手 思い出す程恋焦がれて 君に会える日を ずっと心待ちにしていた 桂木遥隆 × 倉橋七生

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop