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あぁ……今日も1日が過ぎてしまった。
カレンダーを見て思わずため息をこぼす。
ただ今、夜の7時。わたくし自己嫌悪に陥っております。
コンコン、とノックの音が聞こえて顔を上げると部屋の扉の向こうからお母さんの顔が見えた。
「香澄(かすみ)、夜ごはんできたわよ?」
「……うん」
そう言うとお母さんはほんのりと笑った。
下の階におりてテーブルの上に置かれたシチューを口に運ぶ。
そういえばこの前、あったかいものが食べたいって言ったっけ。
それでシチュー、か……お母さんらしいささやかな気づかいが心に染みる。
「おいしい?」
「うん、おいしいよ」
「そう。よかった」
お母さん、と口にしようとしたときにプルル、と家の電話が鳴った。
穏やかな時間を壊すようなそれにビクリと肩が揺れる。
少し迷うように視線をうろつかせてお母さんは立ち上がり電話の受話器を手に取った。
「もしもし…はい…はい……」
その電話が誰からなのか、その内容が何に関するものなのか…簡単に推測できる。