それが愛ならかまわない

「プライド高い篠塚なりの誘い方かと」


「馬っ鹿じゃないの!そっちが盛ってるんでしょ!」


 思わず声が大きくなる。
 そんなつもりじゃないの分かってるくせに。


 段々取り繕う余裕すらなくなってメッキが剥がれてきてるけど、椎名は私の性格なんかお見通しみたいだしもういい。向こうも普段はこんな嫌味な奴じゃなかったはずだし、裏があるのはお互い様だ。


「何、朝っぱらからそんな事言うなんて私に惚れた?もしくは私の身体に?」


「まさか」


 照れ隠しを兼ねて冗談のつもりで投げた言葉に真顔のまま即答一蹴。
 そのまま椎名は「俺もコーヒー」と言いおいて立ち上がるとバスルームへと消えて行った。すぐに中からシャワーの水音が響き始める。


 ……むっかつく!


 目立つタイプじゃないし人畜無害な男だと思ったら、蓋を開けてみればこんなに絶妙に人の神経を逆撫でするのが上手いなんて。
 逆に余裕ぶっているその顔を歪めさせる事が出来たらどんなにか胸が空くだろう。

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