それが愛ならかまわない

「申し訳ありません、失礼しました。……ちょっと恥ずかしい事思い出しちゃって」


「莉子さんでもそんな事あるんですか」


「たくさんあるよ……自分ではもっと冷静なつもりだったけど、私結構直情型みたい。おまけに卑屈だし心も狭くて嫉妬深い」


「えー……」


 あかりちゃんは全く信じられないという表情をしているし、自分でもあまり認めたくはなかったけれど事実なのだから仕方ない。
 ケーキを選んでいた客が店を出ていったタイミングで小野さんが声をかけてきたので、この話題がそれ以上広がる事はなかったけれど。


「あ、莉子ちゃん。これ裏に出しておいてくれる?丁度今お客さんいないし、あかりちゃん連れて行って場所教えてあげて」


 小野さんが指差した厨房の入口には、業者が乳製品の搬入に使っているプラスチック製の空きケースが積まれている。


「はい」
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