風が、吹いた

先輩が気を遣って声を掛けてくれるが。




「いえ、大丈夫です!結構です!おやすみなさい!」



そう言って、私は外に出て、ドアを半ば強引に閉めた。




バタン




「なに…?」




息切れしてしまいそう。



心臓が、バクバクと脈を打っている。




ふらふらと自転車の所へ行き、鍵を開けて一目散に、森から出る。




ーなんだろう。




この気持ちはなんだろう。



知らないわけじゃない。



知ってるつもりもない。



だけど、まさか。



まさか、程遠い自分が。




誰かを好きだと感じるなんてことは。




多分一生ないだろうと思っていたのに。
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