君と奏でる音[前編]

天才ピアニスト




 腰の痛みも引いて、何とか体育館に移動できた。自分の椅子に座り一息吐く。
ちなみに、クラスは3-2で幸いなこと幸音とは別だった。
入学式が始まり、新一年生が入場してきた。

今年の一年は比較的、背が高い。



「なぁ、奏介」



 隣に座る七崎大輝(ナナサキ ダイキ)が肘で小突いてきた。
彼は小4からクラスが同じで僕の親友。女癖は悪いがな。
また同じクラスみたいだ。



「朝なんでいなかったんだよ。俺心配したぞ?」
「ごめん。いつものだよ。ただ今日は格別だった…。」
「あぁ。幸音か。アイツ大人しかったらモテるのにな」
「うん。容姿は悪くないし、頭いいし。」
「だよな…」



 そう。
幸音は学年トップ20に入るくらい頭はいい方なのだ。
見た目はかわいいし、陰で幸音を好きと言う男を何人も見てきた。


ただ、振る舞い方がガサツなだけだ。



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