聖夜は恋の雪に埋もれて

バイト中の鉄平君

 翌日のバイト帰りのことだった。
 夜9時頃、またあのグラン・オルロジェの前を通りかかったとき、何気なく窓から店内を見る私。
 鉄平君って、ここでバイトしてるんだっけ。
 シフトのこととか聞いていないから、今日はどうか分からないな……。

 私が、通り過ぎようとしたとき、体格のいい中年男性が奥から出てきて、レジ前に立ったのが見えた。
 広い肩幅に濃い眉毛、口周りを覆う立派なひげ、それに太い腕などが印象的だ。
 でも、挙措動作が紳士、って感じがする。
 支配人さん、とかかな。
 すると、今度は後ろから鉄平君が出てきた。
 あ、今日バイトだったんだ。
 そして、支配人さんっぽい男性に、何か言葉をかける鉄平君。
 話の内容までは、聞き取れない。

 あ……そうだった!
 外からじろじろ見ているのも、すごく失礼だ。
 私は、そのまま通り過ぎることにした。
 それにしても、こんな時間まで働いてるだなんて、大変なんだなぁ……。
 私もさっきまで働いていたけど。
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