聖夜は恋の雪に埋もれて
「奏君も、かっこいいね~」
 また瑠璃が言う。
「え、そうかな」
 内心すごく嬉しいんだけど、何気ない調子で答える私。
「かっこいいよ~。まぁ、麗は奏君と仲良しすぎて、彼の魅力が分かってないのかもね」
 私だって分かってるよ、と言いたいところを我慢した。
「で……瑠璃、どうしたの急に? なんで鹿里君や奏のことを?」
「分かってないのかぁ」
 呆れた、という様子で首を振る瑠璃。
「もうすぐクリスマスじゃん。イケメン彼氏とラブラブしないと!」
「はぁ」
 今度は、私が呆れる番だ。
 確かに奏もイケメンだけど、密かな優しさもまた大きな魅力だと思うのに、瑠璃には分かってなさそうだから。
「気のない様子だにゃ。私がイケメンとイブを過ごすことになっても、吠え面かかないでね」
「はいはい」
 瑠璃は、一人で拳を握り締めている。
 普通にしてれば可愛いのに。
 こういう、妙に暑苦しい部分で人気を落としてるように思うなぁ。
「善は急げ。私は動くよ。動きまくるよ! アタックだ!」
 暑苦しいオーラが、そう言う瑠璃の周りに見える気がする。
 瑠璃のトレードマークであるポニーテールも、かすかに揺れた。
「で、誰にアタックするって?」
「乞うご期待!」
 瑠璃は、鹿里君のほうを見て言った。
 その鹿里君は、クラスの女子と談笑中だ。
 でも今、鹿里君が誰とも付き合っておらず、フリーだということが不思議な気がする。
 いつも人気者だし。
 噂によると、たしか先月までは、隣のクラスの子と付き合ってたみたいだけど。

 瑠璃は次に、奏のほうを向いた。
 奏にアタックするのは、やめてほしいな……。
 そんなこと言う権利はないけど、そう強く思う私。

 しかし、それから数日後、私は意外な場面を目撃することとなった。
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