狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録

センスイの挑発

「まさか私たちの間に入ってこようとする輩(やから)がいるとは…まったく思ってもみなかったよ」


フッと薄ら笑いを浮かべた自称・アランは、うんざりしたようにこめかみを指先で抑えセンスイを睨んだ。


(どうしよう…これ以上センスイ先生を巻き込むわけには…)


「センスイ先生…わたし…」


優しく肩を抱く彼の手に心を痛めながら…アオイはセンスイの美しい顔を見上げた。


「大丈夫ですアオイさん。あなたは何も心配する必要はありません。ここは私に任せてください」


と、センスイは微笑みながらそう答える。


すると…


「あーあーあーっ!!いくら身内だからって過保護すぎんじゃねぇーの!?アラン先生ってさ、アオイの叔父さんなんだろ?」


急に大声でそう叫んだのはシュウだった。


「なに…?」


アランは怪訝そうに眉間へと皺を寄せ、何か言いたげな表情を向けている。


だが…シュウはそれがさも真実であるかのように更に畳み掛けた。


「こいつが可愛いのはわかるけどよ、アオイのオヤジさんの弟だからってそこまで雁字搦(がんじがら)めにすることないだろ?」


するとミキまでもがシュウのノリに合わせ始め…


「うんうんっ!年頃の娘をもつと大変よねぇ!!アオイのお父さんのかわりに監視してるつもりが…この子へと纏わりつく男たちを見ているうちに、ついついイラっと来ちゃったんでしょっ!?」


アオイを振り返りウィンクして見せるシュウとミキ。


『何があったのかわかんないけどさ…アオイが困る顔、見たくないんだよね』


『ああ』


ミキの言葉に頷くシュウ。


『ミキ…シュウ…』


二人の優しさに目頭がじんわり熱くなる。
すると…


「え…そうなの?」


「それならアラン先生がアオイを気にする理由もわかるかも…」


「あー、だから呼び捨てなのね!」


シュウとミキのフォローにより納得しはじめたクラスメイトたちだったが…


「…生徒たちの力を借りねばならぬほどの失態を犯すなど…いい大人がする事とは到底思えませんね」


皮肉を含んだセンスイの言葉。
彼がまったくアランの"アオイの叔父さん"説を信用していないのは明らかだった。

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