狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録

想いを重ねて…

『おと…さ…ま』


まるで氷の鎖に囚われたかのように身動きできないでいるアオイ。


(…どうして…お父様は怖いことを言っているはずなのに…)


(この瞳を見ていると…とても胸が痛い…)


胸元を押さえ、なんと言葉を返したらよいかわからないでいるアオイだが…キュリオがこうなってしまった原因は自分にあるのだとわかる。


『ごめんなさいお父様…私自分勝手で…』


『……』


しかし、アオイの謝罪の言葉に対しキュリオは何も言わない。
さらにアオイは続けた。


『私はずっとお父様と一緒です。だから…』


『…離れていかないと約束してくれるんだね?』


『はいっ』


アオイはキュリオを安心させるため、精一杯の笑顔で応える。


すると…



『ずっと共にあるという本当の意味を…アオイが理解していなくとも?』



『そうです。どんな意味があっても、ずっと一緒ですっ』



迷わず頷き、頬を染めながらキュリオの首に腕をまわすアオイ。



(例え血のつながりがなくとも私のお父様はお父様だけだもの…)



『私を見つけてくださったのがキュリオお父様でよかった…』



愛しい父親に頬を寄せ、久しぶりに甘えるような素振りを見せるアオイ。



『ふふっアオイがどこにいようとも私が必ず見つけ出し…こうして胸に抱きしめていたよ』



『…うんっ…』



知らず知らずのうちに涙がアオイの頬を伝っていく。



"お父様はきっと私がどこにいても…どんな私でも見つけてくださる…"




(……え…?いま…私、なんて…?)




ふとそんな事を考え、自分に驚いたアオイは小さく背を震わせてしまった。


甘く頬を寄せていたアオイが一変、涙を流しながら動揺し始める。そして、愛しい彼女の異様な変化に気付かないわけがないキュリオ。



『…アオイ?』



『…なんでもな…っ…』



慌てて顔を伏せようとしたアオイだが、先に心配そうなキュリオの瞳がアオイをとらえた。



『…今なにを思ったか…私に教えてくれるね?』



両手がふさがり、アオイの涙が拭えぬキュリオはそのままベッドに向かって歩き出す。


キュリオは優しくアオイを座らせると思いきや、彼女を膝の上に乗せたままベッドへと腰をおろした―――


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