狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録

気付かれた存在


あのような行動がなんというものなのかアオイにはわからない。


しかし、幼いながらもそれがキュリオ以外の人とはやってはいけないものだと…それだけは何となくアオイにもわかっていた。


あの夜の事を思い出し、ほんのりと肌を紅潮させてしまったアオイ。


(だめ…今は授業中だもの。私はここじゃただの生徒…)


つい緩みがちな自分を叱咤すると、アオイはやんわりと自称・アランの手を解いた。


(それに、センスイ先生…)


チラリとセンスイの姿を横目で確認してみる。



"怪我が完治したらで構いません。私と学園外で逢ってくださいませんか?"



(どうしてだろう…センスイ先生の事が頭から離れない…)



今までこんな事は一度もなかった。
出会って間もない学園の教師…センスイ。


そして視線の先に見つけた和の装いの彼。


すると、生徒を指導していたセンスイがアオイの視線に気付き優しく微笑んだ。


「アオイさん…」


そして彼女の目の前に立つのは…絶世の美を誇る銀髪のアラン。


(アラン…謎の多い男だ。彼は魔導師か…?)


センスイの疑惑の眼差しは…先ほど放った
アランの力によって、より一層深いものへと変わっていった。




―――と、アオイのとある一言がセンスイの脳裏をかすめていく。




"…いつもはお父様やアレスに治していただいているので…"



「…なるほど」



やがて合点がいったとばかりに笑みを深めたセンスイは、誰にも聞こえぬくらい小さな声で呟いた。



「…思い出しました。アレスという名は…」



「…悠久の王に仕える黒髪の天才魔導師の名前でしたね…」



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