空色。
【1】溢れた色




「紅羽〜!どうしたの?」




窓の外をただただ眺めていると、
聞こえてくる、呼んでいる声。

……他人事みたいにとらえている。






ただ今だけは、
こうやって空を眺めていたいんだ。





「紅羽〜!紅羽ってば!」


「……聞こえてるよ。
どうしたの、結梨?」


前の席に座っているその仕草は、本当に小動物みたい。




高校に入学して2ヶ月。




「良かった〜!
紅羽、ぼうっとしてたから。」

心配そうに眉を下げて見つめてくるこの様子から、もっと早く答えてあげとけばよかったなと少しだけ後悔した。





春が終わり雨ばかりの、この季節。

今日は久しぶりに晴れていた。


< 2 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop