涎が出るほど抱き締めて

「これ…」


「使って?屍食鬼(グール)のだから直ぐに死ねるよ?」


優しく、転んだ少女にハンカチを渡すが如く。


そんなことを言うんだから。




「んんぎゃぁああああっ」




ようやく恐怖が追い付いてきて、私は叫んだ。

もう一生ぶん。

この不法侵入アンド銃刀法違反男にむかって。



「なっ、どしたのおねーさん?」


「ひゃ、ひゃふへて…け、警察ぅっ」


受話器を手にするが、もう使えないことに気づく。


――切ったのだ、コンセントを。


ついでにいえば電気もないから薄暗い=怪しい雰囲気なわけで。


や、やばい、知らない男(それも不法侵入アンド銃刀法違反)にヤられる!?

て、貞操の危機ぃいい!



外に…あぁでも、こんな破れたブラウスとボロボロのジーパンで出れるわけない…


「あ、あわわわわっ」


とりあえず部屋のなかを逃げ惑うことにした。
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