君の名を呼んで 2
あなたに逢えて良かった
 深夜に近い時間。
 私は自宅のテーブルの上に並べたそれらを見つめる。
 現像したまま整理しきれてなかった結婚式の写真。
 
 蓮見君たちジェイズが笑顔でこっちを向いている姿。
 すずが私のあげたブーケを掲げて涙目で笑っている姿。
 朔がスーツ姿で司会をしている姿。
 真野社長が帝さんと笑っている姿。
 桜里と私が肩を寄せ合って笑っている姿。
 皇の両親、冴木先生や、遥さんや、新城さん、レナさん、舞華さんーー。
 他にもたくさんの仕事仲間や、友達。

 私の大事な人達。

 それをアルバムに入れていき、最近増えた写真も足してゆく。
 ナナミちゃん達のライブの写真。
 要と朔とすずのPV撮影の記念写真。
 皇との旅行の写真。


 ふと、私の手が止まった。
 壁一面の写真を思い出しかけて。


 いつの間にか唇を噛み締めていた私に皇の手が触れて、血が滲んでいたことに気づく。

「雪姫?」

 気遣わしげな視線に、頷く。
 あの経験は、私達に大きな打撃を与えた。

 私はモヤモヤした気持ちを皇にも言えない時には、遥さんに話していた。
 彼女はただ静かに聞いていてくれて。

「もう大丈夫ですよ」

 そうふわりと微笑んでくれるのに何度癒されたことか。


 けれど。
 私にはそうやって、支えてくれる人たちが居る。


 でも、皇は?


「私は、大丈夫です。あなたこそ、平気?」


 私が夜中にうなされて飛び起きると、いつも皇が私を抱きしめてくれていた。
 けれどそれは、彼自身も眠れていないのだと。
 余裕の無い私は今までなかなか気づけなかった。
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