君の名を呼んで 2
「雪姫お前、今日から一人で藤城すずの担当な。しっかりやれよ」

「はいっ、ありがとうございます!城ノ内副社長!」

 頭を小突けば、頬を染めて、笑うその顔。
 俺が他の女と居る時に見せる、寂しげな色。
 気のせいじゃなければ、雪姫も俺を意識している。

 どうしたら、あの頑固女を落とせる?
 普通じゃダメだ。

 そうして俺は、雪姫の前で女を拒まず食い散らかす。


 なあ、嫉妬しろよ。鈍感馬鹿女。自分の気持ちにすら、気づかないなんてありえねぇだろ。
 俺はずっと待ってたんだからな。今度はお前の番だろ。
 抑えつけないで、言ってみろ。

 俺を、好きだってーー。


 そうして俺は

「いい加減、乗り越えなさいよ!」


 彼女の泣き顔に
 三度目の一目惚れをした。




 にしても、こいつ、五歳も年下だったのか。
……俺が高校生の時に、実は小学生だったなんて、考えたくも無い。


fin
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