君の名を呼んで 2
城ノ内副社長の答えに納得のいかない様子のすずは、私に訴える。

「雪姫ちゃんはそれでいいの!?」

「仲の良い人達は皆、結婚してるの知ってるしね。指輪も、プライベートではしてくれてるよ」

なんて答えは、彼女は納得出来ないようで。

「そーゆー問題じゃないっ」

「んー、モテる男は大変ですね、とか?」

「雪姫ちゃあああんっ!」


ドン、とテーブルを叩くすずの頭に、朔がポン、と手を乗せた。

「すず」

その一言で、彼女は黙って。


「……あたしが口出しする問題じゃないよね、ごめんなさい」

と素直に引き下がった。

へぇ。朔ってば、やるなあ。


城ノ内副社長にもこれは意外だったのか、ニヤリと笑って二人を眺めた。

「へぇ。随分手懐けてんじゃねぇか。すずが雪姫から独り立ちすんのもすぐだな」

「あ、それは寂しいかも」

つい漏らした私の言葉に、すずが飛びついた。

「雪姫ちゃん!あたしはずっと雪姫ちゃんが大好きだからあああ!」

ぎゅうう、なんて抱きしめてくれるすずが可愛くて、私もつい抱きしめ返す。

「私もすずが大好きよ」


「……俺はこれを卒業してもらいたいんだがな」

いちゃつく私達を見て、呆れ顔で頬杖をつく城ノ内副社長に、朔が笑った。

「それは無理でしょう」

「朔、お前もう少し気合い入れてすずに色仕掛けしろよ」

なんてこと言ってるんだ。まったく、もう。
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