milky way【BL】
 
「シンヤさん! 珈琲豆切れてますよ!!」

「あー……忘れてた……」

「オレ、今から買ってきますよ。駅前の店ですよね?」

「ううん、そっちは六時でお仕舞いだから、コンビニの裏に行って」


 気をつけてね、と声だけで送り出し、それからオーダー票を確認する。

 珈琲豆のことなんて、すっかり忘れていたよ。一昨日、シズルくんに一袋あげてそのままだったんだ。アキくんには悪いことしたな……しかも、この忙しい時間帯に……。

 シズルくんにあげて切らしたことは黙っておかないと。

 冷蔵庫を開けた時、裏口の戸が開いた。


「アキくん? 忘れ物?」


 扉の方に声を投げかけて、僕は調理の準備に取りかかる。


「アキくん?」


 振り返りざまに彼を呼ぶと──
 
< 17 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop