フキゲン・ハートビート


腕のなかで嫌そうに首をひねるマロを眺めながら、ふと、なぜかあいつのことを思い出した。


半田寛人。


だってやっぱり似ているんだもの。

あの男はたぶん、ヒト科じゃなくて、ネコ科だね。


「……あ、そうだ!」


突然の大声に反応したマロがびくっと跳ねる。


そういえば、新奈にあまいたまごやきの学生時代のCDをあげる約束をしていたんだった。

寛人くんで、思い出した。


「あー、マロごめんね。びっくりさせちゃったね」


細くしなやかな体を自由にしてやると同時に、自室へ向かった。

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