フキゲン・ハートビート
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しまった、

と思ったのは、それから３日後。


日ごろからの連絡不精が祟って、寛人くんに返信するのをすっかり忘れていたのである。

メッセージのほうじゃなく、いにしえのツール（失礼）のメールなのも、ダメだった。


「や、や、やばい……！」


せっかくお祝いしてもらったのにそれを無視とは、あたしのほうが、ヤなやつにもほどがある。


けど、どうしようか。

いまさら返事なんかしても、それはそれでどうよという感じだし、だからといって無視し続けるのはカンペキＮＧだ。


うわあ、どうしよう。


そこまで思ったところで、ゴハンをつくりに行く約束をしていたことを、はっと思い出した。


「そうだ！」


ゴハンつくりに会いに行けばいいんだよ。

約束したんだからなんにもヘンじゃない。

むしろ寛人くんもヨロシクって言ってたんだし。


うん、そうしよう。

そいで、そのときにメール無視してゴメンって言っちゃおう。

ありがとうも、ちゃんと言おう。


メールのことを思い出したのがきょうでよかった。

学校もバイトもない日でよかった。


しかし、相手は忙しくしているバンドマン。

念のため確認の事前電話をかけると、コール音は４つめで途切れた。


「――はい」

「あ、もしもし寛人くん？　いまからゴハンつくりに行こうと思うんだけど、都合いい？」

「急だな。ちょっと体調崩してるけど、まあ予定はねーよ」

「わかった！　じゃあ行くね」


体調を崩しているのか。


たしかにチョット暑さに弱そうな見た目をしているね。

声も、少し鼻声だったな。


それならば今夜は食べやすいメニューにしよう。

なにがいいだろう。

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