今宵、月下の夜に
それからワイヤーを向かいのビルにひっかけ、勢いよく穴の空いた窓から入った。最上階の部屋に着地する。

ガラスの破片を踏まないように注意しながら死体の腕を触る。もう脈は動いていない。

確認すると元来た窓から姿を消した。


俯せに倒れる死体の上にいつもの“手向け”を残して。
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