君のココロの向こう側
この魔法が解けるとき、きっと素面ではいられない。

だったらいっそ、これが幻だと思い込めるまでに酔いたい。

目が覚めたら、切ない、でも幸せな夢だったなって思えるくらいに。



「ってことでー、後でジンベースのカクテル飲んでみるー!」

「はぁ⁉︎やめとけ!吐くぞ」

「大丈夫だいじょうぶ」

「大丈夫じゃねえよ。やめとけ」



あ……、本気で心配してくれてる。

表情からそれが伝わって、胸がチクリと痛む。



「……ねえ、隆太郎」

「……何」

「奥さん、どんな人?」



唐突の質問に、隆太郎はちょっとだけ目を見開いた。

自分でも……なんで聞いちゃったのかわかんないし。

別に、今君が愛してる人のことなんて知りたくもないのに。



「……強いけど弱い。心から守りたいって、そう思える人……かな」

「……そっか」



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