晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜







7月。中学生最後の、夏休み。


お兄ちゃんが耳にピアスホールを空けると言い出して、それを見学していた。


いいなぁ……。



「お母さん、私も空けて」



最初は断られたけれど、しつこく言う私にしぶしぶ空けられた二つの穴。


キラリ光る耳の、ピアス。


お兄ちゃんの残りモノで、髪の毛も茶色に染めた。


マジメな生徒が多かったウチの学校じゃ、ピアスをした生徒も、髪の毛を染めた生徒も、まゆ毛を剃っていた生徒すらもいなくて。


目立ちたかった。


気を、張っていたかったから。


……誰よりも早く、大人になりたかった。


しかし今思うと、そのどれもがあの時の私には必要なことだったんだなって、そう思うんだ。


必死に背伸びをして、前を向いて。


頑張って、頑張って。


また、頑張れる私に戻りたかった。



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