キスの意味
小学生の頃から、ずっと野球に関わってきた倉本さん。

その勝負事に対する気合いと運動神経は、他と比べ物にならない。

私のいたずら心が疼き、また、新たな提案をした。

「手つなぎオニ~!?」

「はいっ!」

異口同音のみんなの言葉に、満面の笑みで答える。

オニにタッチされた人は、オニと手をつないでオニになる。要するに、オニがどんどん増えていくのだ。

地域によって呼び方は様々だろうが、子どもの頃、誰もが一度は遊んだ事があるはずだ。

もう面倒だと思われたのか、私の提案は、あっさりと受け入れられる。

『オニが4人以上になったら、二手に別れてもいい』

そんなルールも追加する。

「これなら倉本さんも、捕まっちゃうもんね♪」心の中で、悪い笑みを浮かべながら、最初のオニを決めるじゃんけんをする。

「ヤ、ヤバい!」そう思った時、私は“グー”
で敗れ、見事に最初のオニになっていた。
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