キスの意味
宮前さんが入り口で靴を脱ぎ、一段高くなっている室内に上がるので、とりあえず私も続く。

宮前さんは、両足を投げ出し、両手を後ろに付くようにして、畳に座る。

私は窓際に立って、白いレースのカーテン越しに、外を眺める。

「何もないんだったら、営業の部屋に戻りたいな・・・」なんて考えていたら、宮前さんが言った。

「ここを使うのは、営業位だから、普段はわりと静かなんだ。ちょっと息抜きをするのにも、いいんだよ」

私を見て、宮前さんは薄く笑った。

そうか・・・それを教える為に、わざわざ上がったんだ。

慣れない仕事をして、これから煮詰まる事もあるだろう。

気分を変える為に、ここに来てもいいんだよって、教えてくれたんだ。

「はい!覚えておきます」

初めて、宮前さんに自然な笑顔で答える事ができた。

「ところで・・・水野君、本当に塚本さんと付き合ってない?」

「付き合ってません!!」

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