私とメガネくんの秘密のレッスン

もう居たたまれない。
レッスンのプリントにうちこもう。
もちろん内容なんて理解できないし、
公式に当てはめることもできないだろう。

って言うより、
ドキドキ感によってそれどころじゃない。
完璧に追い詰められてる。




「………。」



「………。」



ううぅ…
横からチクチクした視線を感じる。
居たたまれない！



「…そ、
　そんなに見ないでください。」



「ん？
　プリントやるんだろ？


　俺先生だし、
　見るのも仕事ですケド。」



「しょっ…
　職権乱用だぁ！」



「いやいや、
　これが立派な仕事デス。」



「～っ！」




白石くんの馬鹿！




「………それより


　本当に解けないんですか？
　あなた本当に大馬鹿なんですか？」



「ちょっ、
　だってここまだ習ってない！」



「習ってなくても前回の応用で
　解けるんですが…
　はぁ…
　本当に僕と同い年ですか？」



「同い年だよ！
　そっ、それにみんながみんな
　白石くんみたく秀才じゃないんだから！」



馬鹿と天才は紙一重って言うけれど
その通りだよ！



「ほぅ。
　この僕に馬鹿と言うとは…
　いい根性してますね。」



「えっ…どうして……」



心のなかで呟いたはずなのにっ！



「なんで分かったのって
　言いたげですね。」



「うっ、だって…」



「だって顔に書いてありますよ。」



「え、
　顔に？！」



ペタペタペタ…
両手で顔を触ってみる。

それを見た白石くんは呆れたように
溜め息をつき



「そんなわけないでしょう。
　本当に馬鹿なんですね。」



「ひ、人のこと馬鹿馬鹿言い過ぎ！
　馬鹿って言う人が馬鹿なんだから！」



「はぁ…課題増やされたいんですね。」



「なんでそうなるのぉぉ？！」



「…では早速
　この問題を解いてみてください。
　制限時間は15分。
　30満点中25点以上でなければ
　明日からは倍やらせますので。」



「そっ、そんなぁ！」



「はい、
　つべこべ言わずに


　…よーい、スタート。」



「おっ、鬼ぃぃぃ！」




このドキドキ感と
白石くんの言った"好き"は
まだよくわからない。


だけど…



『…それって
　不特定多数の友達にか？
　…それとも
　特定の人物にだけか？』



白石くんだけで
そうなるとお兄ちゃんの問いも
後者なのは間違いない。


だからゆっくりゆっくり
探していこうと思います。