風がさらった恋心。
◆水色の風




オレンジ色に染まる教室。

グラウンドから聞こえてくる陸上部の声。


私は一人教室で、ただ時計を眺めていた。


……18時まで、まだ30分もある。


暇だななんて思いながら、今日も窓を開けて立ったまま外に目を向ける。

毎日ここで時間を潰してる私にとってそれは日課のようなものになっていた。





「相変わらず、ずば抜けてるな……」





その先に広がるグラウンドで走る集団の中で、今日も圧倒的な差をつけて走る男子がいる。


校舎の3階からじゃ、顔の判別はつかない。

だけど一年の夏に気がついたの。



あれは、一岡 疾風(いちおか はやて)なんじゃないかって。



私と同じ二年三組で、出席番号は三番。

身長は恐らく170cm後半くらい。

クラスの中心グループに属してるけど、筆頭に立って騒ぐんじゃなくてそれを見ていつも笑ってるタイプ。


まさに走る為に名付けられたような名前の彼は、一年の頃から陸上部の期待の星らしい。






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