約束の空
発症
「お母さん、浴衣出して!」


今日は、年に一度の夏祭り。


8時ごろから盛大な花火大会も始まる。


去年は受験で、勉強が間に合わなくて来れなかった。


もっと早くから取り組んでいれば、そんなことにはならなかったと思うけど。


「いいわよ。一昨年買った、コレでいいかしら?」


そういってお母さんが差し出したのは、黒地にピンクのバラの模様の、艶やかな浴衣だった。


「うん!ありがとう」


私は浴衣を受け取ると、そそくさとリビングをあとにした。


階段をのぼって、まっすぐ行った突き当りの部分が私の部屋。


って言っても、1人っ子なのがオチ。


だから何でも買ってもらえるし、存分にわがままもいえる。
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