課長、ちゃんとしてください。
そんなあたしを、他の女の子たちと同じように「かわいい」だなんて、課長の目はどこかおかしいとしか考えられない。






初めて課長から「かわいい」と言われたときには、心底驚いた。



それこそ、声も出ないくらい。





あたしは、これまで生きてきた中で、「可愛くない」と言われたことは数え切れない。




親から、親戚から、クラスメイトから、先輩から、教師から、とにかくあらゆる人から「かわいくないやつ」とレッテルを貼られてきた。




それは、客観的に見て、当然の意見だと思っている。






それなのに、課長は、真逆のことを言う。




多数決で考えて、まったくおかしい。





課長の世界を見る目のレンズは、焦点が歪みきっているにちがいない。







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