kiss of lilyー先生との甘い関係ー
 それからは事細かに先生に指示を送った。

「茄子は何本だ?」

「普通のサイズなら一本、小さかったら二本で」

「トマトは大きいから一つか?」

「そうね、ひとつでいいわ」

 今晩の次はいつ料理するかわからないから、使い切る量がいい。

「ひき肉は何グラムだ?」

「120〜150gの間で探してくれる?赤身が多いのがいいわ」

「138gがある…赤い」

「それをお願い」

 あとはキーマカレーのルーか。本当はにんにくやショウガも入れたいところだけど、ちょっと高めのルーを買ってもらえばまかなえるわね。同じ売り場に玉ねぎペーストも売っているでしょう。

「これだけで出来るのか?」

 レジに並びながら、水樹先生がわたしに問う。いまは一人分で売ってあるものが多いから、量が極端に少なく見えるのだろう。

「お家にフライパンと包丁ある?」

「フライパンと包丁なら、ある」

「まな板と木べらある?」

「道具系もある」

「ならできるわよ。あ、忘れてた、油は?」

「貰い物のオリーブオイルで良ければ」

「それで問題なし。トマトが入るから相性がいいわ」

 わたしも自分の買い物を済ませて家に戻った。
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