夫婦ですが何か?
けど・・・。
チャイムは確かに止んだ。
だけどもその代わりの様になり響き始めた枕元の彼の携帯。
バイブ音に意識を走らせれば、すかさず彼の指先が私の顎に絡んで視線が戻された。
「千麻ちゃん。邪魔が入るのは鉄則みたいなものだから」
「・・・・いいんですか?」
「いいんです。今は千麻ちゃんと愛し合いたいんです」
ねっ。と言い聞かされすぐに首筋を這う彼の唇。
一応着信らしかったバイブ音は止んでいて、さすがにもう彼に集中すべきかと腕を巻きつけようとしたタイミング。
今度は短く鳴ったバイブ音。
多分メール。
さすがに気になり手を伸ばすと『あっ、』と不満げな彼の声を受けながら画面の確認。
そして・・・、
ああ、
これは・・・・、
「もう、何で見ちゃうかなぁ千麻ちゃん。で?誰?」
「・・・・・ダーリン、どうやらお預けです」
「・・・・はっ!?」
衝撃!!
そんな驚き見せる彼に携帯の画面を無表情に突きつける。
怪訝な顔をした彼も映し出されているそれに茫然とした後の落胆。
「・・・っ・・・マジか・・・」
「欲求不満・・・・延長って事で」
無情な事実を淡々と告げると余韻も見せずに服を纏った。
そして彼の服も拾い上げて手渡すと未だ苦悶の表情の彼の頬に軽くチュッと口付けて微笑む。
「可愛いお姫様方の来訪じゃ仕方ないですよね?ダーリン」
「あいつらが本気で憎いと思ったのは初めてだよ」
不愉快にぼやいた彼の手から携帯が落ちる。
映し出された画面には添付写真とたった一言。
【開けて~♡】
我らがマンションをバックにモノトーンとフリルに包まれた美少女2人が投げキッスで写っている写真。
黒と白のゴスロリ美少女。
彼の過去の彼女達。
・・・では、なく。
彼の実の妹達の来訪だ。
大道寺 朱(あか)
大道寺 藍(あい)
私の義理の妹と言う事にもなるのか。
騒がしさの来訪。