あい、君。



少し肩をびくつかせた感じもするが、歌をいれ始めた。


「茉智はなにを歌うのかなーっ!」


ルンルンしながら指田さんは篠瀬さんをみている。

リモコンの中を見る気はないようだ。




テレビ画面に表示された文字は、“キュンキュン高鳴る鼓動”




…………。




盛り上がっていた室内は一瞬にして静まった。


ただ無情に“キュンキュン高鳴る鼓動”の音楽だけが響き続ける。




…なんだこの歌は。

イタい題名。


それを歌う篠瀬さん。


…シュールだ…。




歌が終わると、音楽で誤魔化されていた静寂が戻ってきた。



「ご、ごめんなさい…。ドン引きだよね…。」


「そ、そんなことないよ!!茉智の声可愛いし、歌詞も…その、個性的でよかったと思う!」


すかさず指田さんがフォローをいれる。


「はははっ、そうだよ。その歌、茉智ちゃんが好きな歌なんだろ?
気にすることないよ!
むしろ黙りこくっちゃってこっちこそごめんっ」


翼も俺の横で顔の前で手のひらをくっつける。


…翼はかっこいいな。






篠瀬さんはようやく気持ちを落ち着かせたのか、フードメニューを見始めた。


何曲も歌を聴いたせいか、みんなの意識もあっちこっちにそれ、親睦を深める人も多かった。






< 17 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop