Je te aime ～愛しき人よ永遠に～

ある日今ちゃんが一人暮らしを始めていると聞いて、私とナーちゃんは今ちゃんの新しい家に行った。


聞き覚えのない駅に降り立ち、何とか今ちゃんの家に着くと、今ちゃんは仕事に行くと言って、私達に鍵を預け出かけていった。


ナーちゃんは直ぐに文に電話をかけ文を呼び出した。
私は何も感じなかった。


夕方に文はやって来て、和やかに話して笑っていた。
今ちゃんも帰ってくると、ナーちゃんが私の顔を見ながら言った。


『アタシお風呂入る。文も入る？』


続けて言った。
『アヤも一緒に入る？』

私はギョッとして慌てて答えた。
『いや。遠慮しとく。』


すると2人はお風呂に入り始めた。
私と今ちゃんはお風呂場から響くはしゃぐ声に耐えられず、コンビニに行った。


夜道を今ちゃんと話しながら歩いていると、今ちゃんがポツリポツリ話し始めた。

『なぁ。アヤ。アヤは辛くないか？』

私は見慣れない夜道を歩きながら、自分の言葉を噛み締めるようにゆっくりと、でもハッキリと思っていることを言った。


『あのね、自分でも、よく分からないんだけれど、ナーちゃんも文も私にとってはとても大切なんだ。文が幸せなら、私は嬉しいし、ナーちゃんも文とちゃんと付き合っているなら私はそれで良いんだよね。』


その言葉に今ちゃんは私の顔をマジマジと見て、何か言いかけて黙ってしまった。


私はキョトンとして今ちゃんの顔を見ていた。
今ちゃんは言いたそうにでも、言えないみたいな仕草をした。
私はその仕草を深く考えなかった。



その時、私は今ちゃんの態度を追求していたら、良かったのに、私はしなかった。

嫌。出来なかった。
今ちゃんを困らせたくないと言う気持ちが私にはあったから。



買い物をして帰ってきてもまだ2人はお風呂に入っていたので、今ちゃんと2人で買ってきた花火をした。



普段なら無邪気にはしゃいで花火を楽しんだだろう。
その時の花火は私の人生で1番切ない花火だった。