鬼課長とのお見合いで(新たに9月15日に修正済み)

「ただいま。亜季、結花……」

 嬉しそうに微笑む課長。
だが、課長の手にもっている紙袋に気づいた。
 あ、また買ってきたのね!? 

「あら?あなた。また買ってきたんですか!?」

「いや、たまたまお店に入ったら
結花に似合いそうな服を見つけてな」

「これで、何度目ですか!?
毎回、毎回。すぐに大きくなっちゃうんですよ?」

 最近の課長は、スポーツ器具の代わりに
結花の服をたびたび衝動買いするようになった。
 私似なので可愛くて仕方がないらしい。

「仕方がないだろ? 結花は、何を着ても可愛いんだから」

 最近これが口癖のようになっていた。
まったく。鬼課長が聞いて呆れるわよね?
 ハァッ……とため息を吐いた。

「さて、和季。一緒にお風呂に入るぞ」

「やぁ……かず。キレーだもん」

「そうか。それは、確かめてみないとな」

 課長は、そう言うと和季を連れてお風呂を入りに行ってしまった。
もちろん。和季の泣き声が聞こえてきた。

「あらあら」

 クスクスと笑いながら課長の持っていたカバンと紙袋を持ち上げる。
我が家は、いつも明るく賑わしい。
 お見合いで始まった恋だけど
その幸せをくれたのは、間違いなく課長だった。
 ありがとう。私の大好きな鬼課長様。

「さて、夕食の支度を早くしなくちゃあ
和季が出てきちゃうわ」

慌ててリビングの方に向かうのだった。


END。

< 162 / 163 >

この作品をシェア

pagetop