鬼課長とのお見合いで(新たに9月15日に修正済み)

「すまない。仕事が立て込んでて遅くなった。
体調大丈夫か?」

「いえ…来てくれてありがとうございます。
心配お掛けしました」

 深々と頭を下げた。課長が席に座った。
メニューを頼みしばらく沈黙が続いた。
 あ、謝らなくちゃあ……。

「あの……それでですね。話しと言うのは……」

「もし、断りの話なら俺に気を遣わなくてもいい。
強制じゃないから」

 えっ……?その言葉にショックを受けた。
これじゃあ、お別れの話みたいじゃない!?
 違う……本当のことを話さなくちゃあ。

「ち、違います!!誤解を解きたかっただけです」

「……誤解?」

「私と八神さんの間には、何もありません。
確かに言い寄られていますが……それは、一方的で。
 それに私は、すぐに乗り換えるような軽い女じゃありませんから」

 不思議そうに聞き返す課長に自分の気持ちを素直にぶつけた。
信じてほしい。私は、そんな軽い女だと思われたくない。
私は……課長のことが。

「私は、課長の事が好きなんです!!」

 自分でも驚くぐらいの大胆な発言だったと思う。
言った後…ハッとして身体が熱くなってしまった。
 恐る恐る課長の方を覗き込んでみた。
すると硬直したまま頬を赤くしていた。
言葉にならないようだった。

 それを見て私まで恥ずかしくなり下を向いてしまった。
どうしよう……大胆過ぎて顔が見れない。
 パニックになっている私に課長は、
「松井。今の話は、本当なのか?」とそう言って尋ねてきた。

「嘘でそんなこと言いません。私は……」

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