意地悪なキミの好きな人




「ふぇ…っ……え、く…こわ、かった…」



あれから1人で泣いてた。ずっと。



怖かった。だけどまだ、扉の向こうに人がいる気配がしてまだマシだった。



だけど怖かったのには変わりない。



「野原、ごめんっ…本当にごめん…」



抱きしめながら謝ってくれる先輩。



「なんで、閉じ込めたりっ……」



「それは……」



言葉を濁す先輩。



「ごめん、答えられない。」



「なんでっ……」



なにしてたの?不安だよ。



「なんで…ですかっ……!」



「俺はおまえの笑顔が好きだから。」



答えになってないことを言う先輩。



「俺は…おまえが傷つくとこなんて見たくねぇから。他の奴に泣かされたくなかった。」



何を言ってるの?なんの話をしてるの?私、他の人に泣かされてないよ?先輩。


先輩はそう言ってニヤリと笑った。



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